私が初めて「松風」というお菓子に出会ったのは、熊本県菊池市。
日本一薄い和菓子があるということで向かった。
砂糖、小麦粉、卵を薄く焼いたお菓子で、正観寺丸宝のものはその薄さ1.2mm。
元は京都から持ち込まれたという。
だけど、京都にあるそれは、まるでカステラのような厚さだった。
なにがどうして、こうも薄く変わっていったのだろう。
その後も、他の地域で「松風」というお菓子に出会う。
どうも私の知ってる「松風」とは違うようだ。
松ではなく「松風」というネーミングも気になる。
”松にふく風の音”という意味らしいが、”茶がまのにえたぎる音”という意味もあるので、お菓子の名前に合わせやすかったのかな。
またどこかで「松風」に出会うのが楽しみである。
京都の松風
小麦粉、砂糖、麦芽糖、白味噌を練り、発酵させ、大きな鉄なべで丸く表面を焼き、表面に芥子粒を散らしたもの。
織田信長と石山本願寺の合戦中、寺御用達の亀屋陸奥の三代目が創製。
兵糧の代わりとなる。
信長と和睦の後に顕如上人が「わすれては 波の音かとおもふなり 枕にちかき 庭の松風」と詠んだのが名前の由来という。
う~ん、いまいちピンとこないけど。
亀屋陸奥
京都府京都市下京区西中筋通七条上ル菱屋町153
創業:1421(応永28)年
お店は、西本願寺のそばにある。
熊本の松風
菊池の銘菓。
材料は、砂糖、小麦粉、卵、けしの実。
日本一薄い和菓子。
中でも正観寺丸宝の松風は、厚さ1.2mm。
南北朝時代、懐良親王の菊池入りに伴い京都から伝わる。
京都ではカステラみたいに厚みがあるのに、どうしてこう薄くなったんだろう。
正観寺丸宝
熊本県菊池市隈府1097-2
創業:1897(明治30)年
青森の松風
弘前市、開雲堂の松風。
弘前城の古松にちなんで、明治時代後半から作られる。
小麦粉、卵、砂糖、水あめを練り込んだものを一晩寝かせ、鉄板に薄く伸ばし、表面に芥子の実を散らし、焼き上げる。
ほどよい薄さと固さ、パリパリ感がよき。
熊本県菊池市の松風と似てる。
開雲堂
青森県弘前市土手町83
創業:1976(明治9)年
岐阜の松風
岐阜市、長崎屋総本舗の松風。
1763年誕生。
今まで食べた煎餅系松風の中では一番厚め。
開雲堂(弘前市)同様、表面には芥子の実。
本来はきれいに短冊形にカットされているのだけど、お買い得切れ端があったのでそちらを購入。
この店には、見た目カステラ系の味噌松風もあり。
長崎屋総本舗
岐阜県岐阜市中竹屋町38
創業:1720年(享保5年)
東京の松風
どら焼きを買いに浅草の亀十に行った際、見つけたお菓子。
黒糖風味の蒸しパンで、つぶ餡をくるんだもの。
松の木のように見えることから「松風」と名付けられた。
京都や熊本の松風とは、関係がないようです。
亀十
東京都台東区雷門2-18-11
創業:大正末期
沖縄の松風
沖縄の伝統家来な縁結び菓子。
材料は、水・砂糖・卵・食紅・小麦粉・ゴマ。
混ぜ合わせたものを、鉄板に広げ胡麻を振る。
焼きあがったら、切って、温めなおし、冷める前に結ぶ。
材料とか、やいて表面に胡麻をまぶしてるとことか、菊池の松風との共通点が強いようにも思えるけど、この見た目。
どピンクで結んである。
他地域の松風とは関係なさそうよね。
非常に気になるお菓子です。
いろんなお店で見かけるポピュラーなお菓子みたい。