おかしな聖地巡礼

日本各地にある、お菓子にまつわる聖地を集めてみました。

お菓子の神様を祀る神社

日本のお菓子の始まりとされるお話。

お菓子の神様・菓祖といわれる田道間守命(たじまもり)は、『日本書紀』に常世の国より最上の菓子をもたらしたと記される人です。

2000年ほど前、垂仁天皇に田道間守命(たじまもり)が命じられ、常世の国(中国南部からインド方面)から「橘」を持ち帰ります。

「橘」はミカンの原種で、現代のように砂糖などを庶民が口にできなかった昔はタチバナの実を加工して菓子として食べていました。

田道間守命を祀る神社は全国各地にあります。

【兵庫】菓祖 中嶋神社

田道間守命のふるさと豊岡。

またその時持ち帰った橘の実は、田道間守の故郷である豊岡市の中嶋神社に祀られました。

住所 兵庫県豊岡市三宅1
主祭神 田道間守命
建立 7世紀後半
イベント 毎年4月の第3日曜日に神事「菓子祭」があり、各地から製菓関係者が訪れ、御献菓を奉納。

前日には「菓子祭前日祭」としてイベントが行われ、ています。通りが歩行者天国になり、市内外から多くの菓子店が出店するそうです。

行ってみたーい!

以下、全国七か所にある分社。

【岐阜】久和司神社

久和司とは「くわし」と読み、お菓子のことです。

住所 飛騨護国神社(境内社)
岐阜県高山市堀端町90
主祭神 田道間守命
林浄因命
建立 高山の菓子組合にて崇敬会が発足。
1956(昭和31)年、中嶋神社・林神社より御祭神を勧請、鎮座祭が斎行。
イベント

【愛知】中嶋神社

住所 羽田八幡宮(境内社)
愛知県豊橋市花田町斉藤54
主祭神 田道間守命
建立 豊橋菓子協会が菓子業界の繁栄を願い、分社を創建
イベント

【京都】菓祖神社

住所 吉田神社(境内社)
京都市左京区吉田神楽岡町30
主祭神 田道間守命
林浄因命
建立 京都菓子業界の総意により菓祖神社創建奉賛会を結成、
1958(昭和32)年、兵庫県中島神社、和歌山県橘本神社、奈良県林神社の祭神を鎮祭。
イベント 毎年4月と11月に大祭が執り行われ、京都の名だたる和菓子の老舗の方も参拝。

【愛媛】中嶋神社 四国分社

住所 湯神社(境内社)
愛媛県松山市道後湯之町4-10
道後温泉本館南冠山駐車場横
主祭神 田道間守命
建立 1957(昭和32)年、四国四県の製菓業者によって創建
イベント 春の大祭(5月19日)は愛媛県のみ、秋の大祭(11月19日)では四国四県の菓子工業組合の方々が集まり、田道間守命のご神徳に感謝の誠が捧げられると共に、菓業発展・招福等が祈願される。

【徳島】中嶋神社 徳島分社

住所 椎宮八幡神社(境内社)
徳島県徳島市佐古七番町
主祭神 田道間守命
建立
イベント 徳島県菓子工業組合では例年11月に菓祖神祭を開催。

【福岡】中嶋神社 九州分社

住所 太宰府天満宮(境内社)
福岡県太宰府市宰府4-7-1
主祭神 田道間守命
建立 1954(昭和29)年
菓子業者たちが資金を出しあう。
イベント

本殿横に橘の木が植えられています。

【佐賀】 中嶋神社 佐賀県分社

住所 伊萬里神社(境内社)
佐賀県伊万里市
主祭神 田道間守命
建立 1955(昭和30)年
イベント

橘の木が植えられています。

 

【和歌山】橘を最初に移植 橘本神社

田道間守が持ち帰った「橘」を最初に移植したとされているのが、橘本神社(きつもとじんじゃ)の旧社地「六本樹の丘」だといわれています。

和歌山県がミカンの生産量で日本一なのも、なにか運命というかご縁というか、偶然でないものがあるのでしょうか。

住所 和歌山県海南市下津町橘本779番地
主祭神 田道間守神 熊野坐大神
建立 不明
1158年、白河法皇熊野行脚の折、法皇がこの社で通夜なされたという史実
1961年に全国の果物・菓子などの業者や地元の浄財を得て神殿を改築
イベント 毎年4月に「全国銘菓奉献祭」(菓子祭)が開催。
祝詞奏上、「浦安の舞」奉納、参拝者や地元の子どもらによる「田道間守の歌」の合唱などが行われる。10月には例大祭・みかん祭りが開催。
県内外の柑橘業者、果物業者が参拝され、渡御、獅子舞、投餅などを行っています。

【奈良】田道間守の墓

垂仁天皇陵とされる宝来山古墳に寄り添うように水辺に浮かぶ小さな島(円墳)、これが田道間守の墓と言われています。

田道間守命御塚拝所

奈良県奈良市尼辻西町10−27

 

饅頭発祥説)「塩瀬総本家」ルート

饅頭発祥には諸説あります。
その中の主な2つが、「林浄因命~塩瀬総本」」説と「聖一国師~虎屋」説です。

饅頭の神様 林浄因命

田道間守命を祀る中嶋神社の分社の二つ、久和司神社(岐阜)、菓祖神社(京都)では、田道間守命以外に林浄因命(りんじょういんのみこと)も祀られています。

田道間守命がお菓子の祖であれば、林浄因命は饅頭の祖。

1349年に中国より来日、奈良に居を定めて日本初、饅頭をつくり始めます。

そして、彼の子孫が営んだ饅頭屋は「塩瀬総本家(東京都中央区)」と言われています。

【奈良】林神社

我国で唯一の「饅頭の社」。

住所 漢國神社(境内杜)
奈良市漢國町二番地
主祭神 林浄因命・田道間守
建立
イベント 4月19日には林浄因命の偉業を讃えるとともに、菓業界の繁栄を祈願する「饅頭祭」が開催。全国からたくさんの饅頭が献上される。

【福島】開成柏屋 萬寿神社

林浄因命を祀る「林神社(奈良県)」の唯一の分社。

日本三大饅頭の一つ「薄皮饅頭」の柏屋の企業系神社。

住所 開成柏屋敷地内
福島県郡山市朝日1-13-5
主祭神 林浄因命、田道間守命、本名善兵衛(柏屋初代)
建立

萬(よろず)の寿(ことぶき)の意味を持ち、縁結びの神様として親しまれている神社。

境内には、饅頭の形をした自然石「願掛け萬寿石」が奉献され、願い事を聞き届けてくれる願掛けの石として親しまれています。

郡山市にある本店の前には、「願掛け萬寿石」の分身が鎮座。

塩瀬総本家

東京都中央区明石町7-14

1349年創業

饅頭発祥説)「虎屋」ルート

【福岡】饅頭発祥の碑

1241(仁治2)年に中国から帰国した聖一国師が、製粉の技術を持ち帰り、うどん・そば・饅頭などの粉物食文化が全国に広まっていきました。
聖一国師が教えた饅頭は「甘酒饅頭」だと言われています。

聖一国師が開山した承天寺にはうどん・そば、饅頭発祥の地の石碑が立っています。

萬松山 承天寺
博多区博多駅前1-29-9

虎屋

東京都港区赤坂4-9-22

室町時代後期の京都で創業
1869(明治2)年、東京進出

その他のお菓子にまつわる神社など。

【滋賀】餅の神様 小野神社

お菓子の神様、饅頭の神様とくれば、そりゃいるでしょうよ、餅の神様。

日本で最初に餅をつき,栗や餅,蜂蜜を使ってお菓子をつくったという米餅搗大使主命(たがねつきのおおおみのみこと)です。

米餅搗大使主命を祀る神社が滋賀県にある小野神社。小野小町や小野妹子一族の祖です。

住所 滋賀県大津市小野1961
主祭神 天足彦国押人命米餅搗大使主命
建立 不詳
イベント 毎年11月2日、しとぎ祭りが開催。
これに先立ち、10月中旬には,全国菓子業組合による祭りがある。

 

「菓子王国」佐賀

ちょっと意外かもしれませんが、佐賀県、菓子王国なのです。

前出のお菓子の神様を祀る中嶋神社。
伊萬里神社に佐賀分社があります。

そして、鎖国時代、長崎・出島から入った砂糖が流通した道、シュガーロード(長崎街道)は佐賀を通り、その街道沿いでは菓子文化が栄えました。

森永製菓の創業者、江崎グリコの創業者、また戦前の四大キャラメル菓子メーカーの一つだった新高製菓の創業者が佐賀県出身者でした。

森永とグリコの創業者が同じ県出身とかすごくない?

森永製菓の創業者のモニュメント

森永製菓・森永乳業の創業、森永太一郎は伊万里市出身です。

伊万里駅前公園にはモニュメントが設置されています。

偉人モニュメント 森永&グリコ

佐賀県内には、佐賀ゆかりの偉人25名の等身大モニュメントが設置されいます。
佐賀市内には、森永太一郎と江崎利一があります。

グリコ創業者誕生の地の石碑

グリコの創業者「江崎利一」生誕の地には、「江崎利一出生之地」と彫られた石碑があります。

佐賀県佐賀市蓮池町蓮池

グリコマーク発祥の地 八坂神社

「江崎利一」の生家の近くにある神社。

境内でかけっこしている子どもたちを見て、あのランナーが両手を上げてゴールインするマークが生まれたとされています。

 

サツマイモにまつわる聖地

【鹿児島】サツマイモ伝来の地 徳光神社

山川町の船乗り、前田利右衛門は、1705年に琉球から持ち帰ったサツマイモの栽培に成功します。
この栽培は鹿児島全域に広がり、飢餓から多くの人々を救いました。

利右衛門は、「甘しょ翁」と呼ばれ,指宿市山川町の徳光神社(からいも神社)に祀られています。

今でも、サツマイモ生産量1位は鹿児島県です。

住所 鹿児島県指宿市山川岡児ヶ水386-10
主祭神 前田利右衛門(玉蔓大御食持命)
建立 1897(明治30)年

【千葉】いも神様を祀る昆陽神社

薩摩の国から甘藷を取りよせ、関東を中心に普及させた青木昆陽。
甘藷先生、芋神様などと呼ばれる。

青木昆陽が幕張の地に作ったサツマイモの試作地によって、天明の大飢饉の際に救われたこと功績をたたえるために建立。

住所 千葉県千葉市花見川区幕張町四丁目803
主祭神
建立
イベント

 

【埼玉】いも神社

住所 神神社(境内杜)
埼玉県所沢市中富1507
主祭神 吉田弥右衛門と甘藷先生(青木昆陽)
建立 2006(平成18)年
イベント 焼き芋祭り:いも神様の報恩感謝祭。1月1日、2日と豊作の年は、地元の農家の方の奉納により焼き芋を無料で奉仕。

吉田弥右衛門は、川越地方で最初に甘藷の栽培に成功し、川越いもの基礎を確立した農民。

【茨城】ほしいも神社

住所 掘出神社(境内杜)
茨城県ひたちなか市阿字ヶ浦町 172-2
主祭神 宇迦之御魂神
建立 2019(令和1)年
「ほしいもの」がすべて手に入りますようにという思いを込めた新しい神社。

茨城県は、サツマイモ収穫量全国2位、干し芋生産量断トツ1位。

その他のお菓子にまつわる神社

【熊本】菓祖新宮神社

住所 熊本県護国神社(境内杜)
熊本市中央区新町4丁目
主祭神 田道間守命

江戸時代にお菓子の職人町があった中央区新町4丁目には、お菓子の神様を祀るお菓子の祠があり、お祭りが執り行われてきたそうです。

【福岡】もちだんご村 餅乃神社

おせんべいやあられを製造販売する会社、もち吉本社にある企業系神社。
住所がかわいい。

住所 福岡県直方市下境2400番地字餅米もちだんご村
主祭神 天照皇大神、豊受皇大神、稲荷大神、八幡大神、應神天皇、森田先祖稲荷大神、会社屋敷先祖大神

もち吉の経営理念「餅を愛し、餅一筋に生きる。」