キリシタンの縁のお菓子というと、「クルス(雲仙/長崎)」「四郎の初恋(天草/熊本)」が有名です。
隠れキリシタンの迫害、天草四郎で有名な雲仙(長崎)、天草(熊本)の土産菓子です。
2018年には、この辺りが世界遺産に登録されました。
実は、意外にも大分、キリシタン縁のお菓子が多いんです。
というのも、戦国時代から安土桃山時代にかけて豊後の国を支配していた大友宗麟は、キリシタン大名でした。
結構ガチなキリシタン大名だったみたいです。
南蛮貿易にも力を入れたため、南蛮菓子に出会えるのも大分菓子旅行の楽しみの1つです。
1543年、種子島に漂着したポルトガル人は鉄砲とともにカステラ、ビスケット、ボーロといった南蛮菓子を日本に伝えました。
南蛮菓子をイメージしたものにビスケットが使われるのはそういうわけですね。
なぜ、鹿児島に南蛮菓子が根付かなかったのが気になるところです。
大分には、キリシタン関連の遺物・遺跡も残っているので、お菓子と一緒に巡るのも楽しそうです。
また、大分にはお菓子を販売する修道院が3つもあるのも興味深いです。
キリシタン縁のお菓子
ざびえる(ざびえる本舗)
ビスケット生地に白餡。
鹿児島から日本に上陸したザビエルは日本各地を転々とし、大分県でも布教活動を行っていました。
1551年、大友宗麟、イエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルに会います。
そして、キリスト教に改宗、領内での布教を保護しました。
ざびえる本舗
大分市大分流通業務団地1丁目3-11
創業:2001年(平成13年)
1957(昭和32)年、長久堂で誕生した「ざびえる」。
2000(平成12)年の廃業で途絶えるも、元従業員が復活させます。
工場には直売所があり、運がいいと焼きたてが食べられます。
ドン・フランシスコ(菊家)
アーモンドペーストを使ったクレームダマンドの生地と自家製ジャム(ブルーベリー/りんご)を重ねて焼き上げたもの。
大友宗麟の洗礼名が、ドン・フランシスコでした。
株式会社 菊家
由布市挾間町赤野740番地
創業:1956年(昭和31年)
工場に直売所が併設。
洋菓子ラインの一部が自由に見られます。
ビスマン(殿畑双葉堂)
ビスケット生地に黄身餡を入れ焼き上げたビスケット饅頭。
江戸時代、宣教師の為に藩主黒田家が神学校を建設しその謝礼に故郷の菓子「ビスカウト」を献上したというエピソードに由来したお菓子。
ビスマン本舗 殿畑双葉堂
中津市大字植野523-2
創業:1889年(明治22年)
1897年(明治30年)、ビスマン発売
瑠異沙(ざびえる本舗)
ミルクとバター風味のカステラ生地にバイオレットリキュールで香りをつけた紫色の餡。
佐伯市宇目には、るいさの墓(重岡キリシタン墓)があります。
「るいさ」は洗礼名で、どの人物なのかははっきりしていないようなのですが、岡藩の武士の娘ではないかと言われています。
「ざびえる」同様、長久堂で誕生。
廃業で途絶えるも、元従業員が復活させます。
ざびえる本舗
大分市大分流通業務団地1丁目3-11
創業:2001年(平成13年)
MOTHER OF MERCY(但馬屋老舗)
2015年、大分県立美術館OPAMの開館を記念し、但馬屋老舗と美術家ミヤケマイ氏とのコラボレーションによって誕生した和菓子です。
マリア像と十字架模様の落雁。
ミルク味とミルクミント味。
但馬屋老舗は、竹田市にある大分県最古の和菓子屋。
竹田市はキリシタン大名の土地、遺物・遺跡が多く残されています。
但馬屋老舗
竹田市竹田町40番地
創業:1804年(江戸時代)
サンチャゴの鐘(西出開花堂)
米粉を使い、ホワイトチョコと洋酒がはいった洋生菓子。
サンチャゴの鐘は、竹田市の中川神社に伝わる銅製の鐘。
長崎にあったミゼリコルディア(慈善院)附属のサンチャゴ病院の鐘であると考えられています。
1612年(慶長17年)に制作されたキリシタンの遺物です。
西出開花堂
竹田市竹田町458
創業:1952年(昭和27年)
南蛮菓子
丸ぼうろ 中津市
丸ぼうろは、ポルトガル語で甘いお菓子を意味する「ボーロ」が由来。
佐賀が有名ですが、中津でも名物であり、多くの店で作られています。
豊前国中津藩の5代目藩主 奥平昌高(1781-1855)が、長崎のカステラの美味しさに感激し、同じものを作らせようと試行錯誤してできたと言われています。
2枚重ねのものをよく見かけます。
豊後はるていす(但馬屋老舗)
南蛮菓子ハルテイスを現代風に再現。
シナモン風味の餡をアーモンドの粉でサンドした焼き菓子。
江戸時代中期に記されたという書物「南蛮料理書」にも記載あり。
オリジナルが気になります。
但馬屋老舗
竹田市竹田町40番地
創業:1804年(江戸時代)