鹿児島、すんごいんです。
どこいっても郷土菓子だらけ。
スーパーにも当たり前のようにたくさんの郷土菓子が並んでいます。
昔からお茶の産地だし、江戸時代は奄美で砂糖作らせてたし、お菓子文化が充実する条件がそろっていたからでしょうか。
様々な近代化に取り組んだ島津斉彬は、保存食の研究もさせていたそうです。
小さなエリアの郷土菓子(両棒餅・しんこだんご・加治木まんじゅうなど)まで入れるとキリがないので、広域でみられる郷土菓子をあげてみます。
もっと知りたくなったらこちらも。
あくまき
これぞ故郷の郷土菓子の代表とも言えるユニークなお菓子。
味がね、説明しにくいんですよ。
灰汁まきと書くように、餅米を灰汁(木の灰を水に浸して上澄みをすくった液)に漬けて、竹の皮で包み、灰汁で煮ます。
煮ている間に水分を吸収し、竹の皮で包まれている圧力で、餅米が勝手に膨張して餅のようになるらしい。
灰汁には殺菌効果があり、日持ちがいいため、保存食として昔は兵糧でもありました。
鹿児島の端午の節句には欠かせないお菓子です。
モッチモチ、ベッタベタ、味はないのだけど、かすかに苦みを伴うもわっとした独特のクセがあります。
”アクが強い人”とかいうとき、口の中にこのもわっとしたのが広がって、私にとっての”アク”は、このなんとも形容しがたいヤツなんです。
砂糖やきな粉砂糖をつけて食べます。
いかにも好き嫌いが分かれそうな菓子であります。宮崎、鹿児島の道の駅や物産館にはかなりの確率で置いてあるのでお試しあれ。
作り手によってアクの強さが違い、弱い方が食べやすいけど、弱すぎると物足りない。
スーパーなんかのは弱いものが多いです。
かるかん
自然薯にうるち米と砂糖を混ぜてふっくらと蒸しあげたお菓子。デフォルトが竿物のかるかんで、丸い餡入りはかるかん饅頭です。
江戸時代には殿様しか食べられなかったと言われている伝統菓子でした。
そのお菓子を作ったのは、薩摩藩主島津斉彬公が江戸から招いた菓子屋。彼の店は、いまなお伝統の味を作り続け、かるかんといえば一番に名前があげられる明石屋です。
明石屋菓子店
鹿児島市金生町4-16
1854(安政元)年創業
春駒
あん、米など、砂糖を練り上げて混ぜて蒸したもの。
1820年に島津藩武士が作った携行食。
うまんまら(馬のイチモツ)と呼ばれていたけど、偉い人に献上するときにこれじゃぁ・・・ということで春駒に改名。
いこもち
炒ったもち米をひいて粉にし、砂糖や水あめと熱湯に入れ、こね上げる餅菓子。
香ばしいすあま、みたいな。
江戸初期からある祝菓子。
いこ餅・高麗餅・木目羹はセットで、各種お祝いや法事などに用いられてきました。
とても素朴だけど、自分好みの甘さ、柔らかさのものはすこぶる美味しいです。炒った粉をつかっているので、香ばしいのがいいんです。
高麗菓子
高麗粉(もち米・うるち米)とあんこをぎゅっとして蒸します。あんこ味の食感が独特なんです。
朝鮮出兵の際、島津家にともなって朝鮮から連れてこられた陶工たちが持ちこんだものと言われています。
小豆羹
あずき、砂糖、小麦粉、葛粉でできた蒸し羊羹。
寒天で固めた羊羹とは食感が違います。
木目羹
室町時代に守護大名島津武久が京都から薩摩にもたらしたと伝えられる歴史のあるお菓子。小豆餡と白餡、2色の餡で木目模様を作る棹菓子。
木目(年輪)の成長のように子どもの健やかな成長を願う意味を込めて名付けられたそうです。
ふくれ
ふくれは鹿児島・宮崎の郷土菓子。
小麦粉、卵、黒砂糖を重曹でガンガン膨らました蒸しパン。
ボリューミーでノスタルジーすら感じる素朴な美味しさ。
ねったぼ/いも餅
ねりくり、ねったぼ、いも餅、ねったくり、地域によって呼ばれ方いろいろ。
餅とサツマイモを蒸す、または茹でて、混ぜ合わせるようによく潰し、きな粉をかけて食べます。
大好物。
サツマイモが大好きなので、これまた好きな餅と一体化し、これまたこれまた好きなきな粉をかけた、このシンプルなお菓子を物心ついた時から好きなんです。
イモが多いとゆるく、餅が多いと固めになります。
僭越ながら私の好みを言うと、サツマイモが多めのゆるいやつがいい。
イモの味を楽しみたいから、餡子はいらない。
ちょっと餅やイモの塊が残っていると嬉しい。
きなこにまぜる砂糖がいらないくらいサツマイモが甘いと最高です。
かからん団子
古くから鹿児島に親しまれた大衆菓子。
よもぎ・小豆の餡餅を上品な香りの「かからん」の葉(サルトリイバラ)で包み仕上げています。
けせん団子
小豆の団子をけせん(ニッキ)の葉ではさんだもの。
げたんは
小麦粉、卵、黒砂糖を使った生地を焼き、黒砂糖の蜜に漬け込んだ、黒棒に似たお菓子。
形が下駄の歯に似ているからげたんは。
黒砂糖まみれのその姿は、すっごく甘そうなのだけど、意外にそうでもない。
ところどころ黒砂糖がたっぷりの部分がしゃりしゃりしてるのがいいんです。
文旦漬け
ブンタンの皮を砂糖で煮詰めて砂糖漬けにしたもの。
鹿児島市の文旦堂の初代坂之上次助が1869年(明治2年)にはじめて商品化。
白熊
昭和初期、鹿児島で発祥した白くま。
ミルクかき氷に練乳をかけて、缶詰やカットフルーツを盛りつけたもの。
鹿児島市の天文館むじゃきが発祥の店という説も。
色の付いた寒天が涼しげで昭和感を醸し出して可愛いんです。
カットフルーツで華やかな見た目を売りにした白くまもあるけど、甘いミルクかき氷で舌がフルーツを甘く感じなくなっているので、缶詰の強い味の方がわたしは好き。
てっぺんは缶詰のサクランボに限ります!
お店によっていろんな個性の白くまがあるけど、本家を提唱するだけあって、これぞ昔から食べてた白くまよね、というベーシックな白くま。
ボンタンアメ
1924(大正13)年誕生。
柑橘系のちょっと甘酸っぱいさわやかな餅。
久しぶりに食べたら、子供の頃に比べて随分オブラートが薄くなっていた。
セイカ食品は1919(大正8年)創業。
すごく不思議なのです。
鹿児島の隣宮崎でも、同じ郷土菓子が愛されています。
あくまき、ねりくり、ふくれは鹿児島同様、宮崎でも普通に食べている地域は多いです。
いこもち、高麗菓子、小豆羹、木目羹もめずらしくないけど、薩摩のお菓子という印象はあります。
かるかん、春駒、けせん団子に関しては、完全に鹿児島のお菓子。
広まる郷土菓子と広まらない郷土菓子の相違点・共通点みたいなものなんなのでしょう。