宮崎の門外不出、知る人ぞ知るお菓子たち

宮崎の美味しいお菓子、なかなか県外に出ないんですよね。
賞味期限が当日中のものが多いんです。

人々の移動手段が徒歩だった頃、どこの名物菓子もその場で食べるためのものでした。
輸送手段が発達するに従い、お菓子も日保ちするように改良されていったといいます。
ずっと陸の孤島だった宮崎は、その波に乗らなかったのかなぁ、などと勝手に想像してしまいます。

もちろん、現在では日保ちするものも売られています。
だけど、どれも美味しいのはやっぱり作り立て。
お気に入りのお菓子をお土産にできなくて、悔しいんですよ。

なのでぜひ、実際に行って食べてほしいです。

宮崎に限らず、賞味期限当日の、その土地に行かないと食べられないお菓子を食べるのも、旅の大きな楽しみの一つです。

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青島ういろう(宮崎市青島)

本間商店

うるち米を主原料に、砂糖を加えて蒸したもの。
要冷蔵、賞味期限当日。

昭和40年代、宮崎は新婚旅行のメッカともいわれるくらい、ブームに沸いていました。
青い海、青い空、色鮮やかな花々、南国ムードを盛り上げるフェニックス並木。
昭和天皇の娘と旧佐土原藩島津家の息子が結婚、新婚旅行先が宮崎だったことがブームの火付け役となりました。

そんな宮崎随一の観光名所青島の名物、青島ういろう。
明治10年頃、青島で旅館をしていた鈴木サトさんが作っていた「おサト羊羹」を改名。
旧こどものくにの前にはういろう店が軒を並べます。

味もお値段もやさいしい。
もっちりほっこりのお菓子。

ういろうも、全国各地で名物になっていて興味深いお菓子です。

 

このパッケージがツボで。

 

鯨ようかん(宮崎市佐土原町)

坂本商店

米粉を練ったものをあんこで挟んで蒸したもの。
賞味期限当日(坂本商店)。

こういうのは餅で餡を巻くタイプが多いけど、これは挟む。しかも餅で餡、でなく、餡で餅を挟む。

江戸時代、薩摩藩支藩の佐土原藩の藩主が若くして亡くなります。彼には2歳になる息子がいました。母が、息子が鯨のように強くたくましく育って欲しいと願い、鯨に似せた菓子を作らせたのが始まりといわれています。息子は後にりっぱな藩主になりました。

これも出来たてが柔らかく美味しい。
餅と餡の柔らかさ具合が絶品。

鯨ようかんの店は3店あり、これらは佐土原城のお膝元に集中しています。

佐土原城は、田島氏、伊東氏ときて、江戸時代に島津氏が入ります。
1870年引越のため取り壊されました。
建物の資料が残っていないため、今ある建物は、発掘された土台と同じ時代に建てられた京都の二条城を参考に復元されたものです。
宮崎市佐土原歴史資料館となっています。

日本100名城に続く、続日本100名城に選定されたお城です。
裏山をのぼると天守跡や本丸跡があります。

 

長饅頭(宮崎市高岡町)

うるち米粉の生地で餡を巻いた饅頭。
賞味期限当日。

人気が高く午前中に売り切れてしまうことも珍しくありません。

ぜひとも買ったらすぐに食べて欲しいです。生地が形を保つ極限まで柔らかいんです。食べたこっちまで、美味しさと柔らかさにふにゃぁ〜っとなる。

夕方には餅が固くなり、包んである竹皮の香りがうつるので、別物になってしまうんです(それはそれで好きだけど)。

 

わらべのチーズ饅頭(宮崎市)

30年ほどまえに宮崎県小林市で誕生した、宮崎県郷土菓子ホープのチーズ饅頭。
「南国屋今門」「風月堂」が発祥の店だといわれています。

クッキー生地のなかに甘くないチーズの塊。
生地がサクサク系、しっとり系、レーズンや砕いたナッツが入っていたり、お店によってちょっと違う。

チーズ饅頭は、2,3日日保ちするものが多いのですが、私が一番好きなわらべのチーズ饅頭は、賞味期限当日。

サクサク系で、夕方にはチーズの水分を生地が吸っちゃうんですよ。

 

白玉饅頭(国富町)

井戸川白玉まんじゅう店

餡入り白玉。
賞味期限当日。

宮崎県諸県郡国富町本庄で150年以上前から作られている名物饅頭。

幕末、宮永夫婦が鵜戸神宮参拝に出かけ、堀切峠の茶屋で食べた饅頭があまりにも美味しくて、帰ってから再現しようと試行錯誤でつくりあげたとか。

国富町本庄には、今でも4軒の白玉まんじゅう屋があります。
手作りで1日に作る数に限りがあるので、売り切れていることもしばしば。
日保ちがしないので、こちらも県内でも知る人ぞ知る名物饅頭となっています。

 

おきよせんべい(日南市)

松家

薄いサクサクのもち米のせんべいを2枚、砂糖の蜜で張り合わせている。

日南市飫肥町に生まれて120年。
常に予約でいっぱいで店舗売りをしていない。2週間待ちの時もあれば、4日待ちの時も。

シンプルに丁寧に作っているから、口に広がるお米の旨みがたまりません。

これは日保ちするのですが、私は買ったらすぐ駐車場で食べます。
焼いたその日の、サクサクさと米の広がり、すっと溶けていく美味しさが格別なんです。