農林水産省選定の「農山漁村の郷土料理百選」に、中部地方(山梨・長野・岐阜・静岡・愛知・三重)から選ばれた料理です。
「農山漁村の郷土料理百選」では、食育研究家などをふくむ8名が、約3000品の中から各県2、3品を選んでいます。
料理説明の引用:農山漁村の郷土料理百選 選定料理一覧
山梨
ほうとう
幅広の平打ちうどんとかぼちゃに加え、ねぎやしいたけなどを味噌ベースの汁で煮込んだ麺料理です。うどんを生麺の状態から煮込むことで、汁にとろみがついて冷めにくい特徴があります。
山梨県の山間部では、米作りが難しいことから麦を栽培し、収穫した麦で麺を作り、季節の野菜と煮込み始めたのがほうとうのはじまりです。戦国時代、武田信玄が貴重な米に代わる陣中食として考案したという説が伝わります。
初めてほうとうを食べたのがチェーン店の小作。
すごく気に入って、他の店のも食べてみたい!と思いつつ、見つけるとついつい小作に入ってしまいます。
吉田うどん
硬く非常にコシが強い麺を味噌かしょうゆ、またはあわせたもので作ったつゆに、にんじん、ゆでキャベツ、ごぼう、油揚げ、馬肉などを具として食す吉田うどん。
吉田市近郊では、気候的、風土的に稲作が難しく雑穀栽培とともに水掛麦と呼ばれる農法で麦が栽培されてきました。そのため日常的には野菜を多く使ったほうとうを、祭りなどのハレの日には麦を多く使ったうどんが食べられていたようです。
ほうとうと同じく、稲作に適さない土地で育てられた麦をつっかた料理ですね。
桜井うどん(富士吉田市)
この腰が強くてかたい麺、好きなんです。
長野
信州そば
そば粉と小麦粉を混ぜ、水を加えて、水回し(水をまんべんなくいきわたらせる)、こね、のばし、切りという工程を経て作るそば。そば粉が40%以上使われているもののみが、信州そばを名乗る事が出来ます。
そば作りの歴史は古く、江戸時代に広まったといわれています。そば作りには涼しい気候が適しています。そして、昼夜の温度差が大きいと、栄養がソバの実に運ばれやすくなることで、甘いデンプン質が作られます。この二つの条件を満たす信州は、昔からそばの名産地として知られていました。
そばの実(長野市戸隠中社)
日本三大そばの1つ戸隠そばも含まれます。
日本三大そば、あとの2つは、岩手県のわんこそば、島根県の出雲そば。
おやき
野菜や山菜など旬の食材を炒めて味噌やしょうゆで味を調え、小麦粉を練ったもので包み、焼いたり蒸したりして作られます。
山に囲まれ雪の多い信州では、稲作の収穫量が伸びず、お米の代用品としてそばや小麦が栽培されていました。古くは縄文時代より粉もの料理が盛んで、いろりや灰の中で粉を練って焼いた跡が発見されたといわれています。
いろは堂(長野市鬼無里)
縄文おやき村(小川村)
お店の1番人気を聞くと野沢菜というところが多いですが、私が一番好きなのは切り干し大根、できれば切り干し大根入りの野菜ミックスです。
岐阜
栗きんとん
生栗を皮のままゆで、中身をすくい出して裏ごししたものに、砂糖を用いて味を調えたものを弱火で練り、茶巾で軽く絞った岐阜県の郷土菓子。
岐阜県では中津川市、恵那(えな)市などの東濃(とうのう)地方を中心に、昔から栗の栽培が盛んで、秋から冬に収穫される栗を用いた栗おこわなどや栗菓子が各家庭に伝わっています。栗きんとんはその中でも江戸時代から素朴なおやつとしての人気が高く、茶会では欠かせないお菓子だったとされます。
川上屋・すや(中津川市)
朴葉みそ
みそにみりんや日本酒などの調味料、ネギなどの薬味、シイタケなどをまぜ、朴葉(ほおば)にのせて焼く料理。朴葉とは飛騨地方に多く育つホオノキの葉で、香りがよく殺菌作業があることから、料理によく用いられます。
高山市の京やのほうば味噌定食には、飛騨地域の郷土料理「こもどうふ」も付いています。
静岡
桜えびのかき揚げ
生の桜エビに好みの野菜をまぜあわせて、衣を少なめにしてカラっと揚げます。
静岡県駿河湾は桜エビの国内水揚げ量が100%です。桜エビの量を減らさないよう、漁は3月下旬から6月上旬と10月下旬から12月の期間で、のべ30日から40日程度に限られています。
静岡に来るまで桜えびが駿河湾でしかとれないことを知りませんでした。
鐘庵 清水三保総本店
旅先で郷土料理を食べたい時、郷土料理屋さんに行くのが手っ取り早いのですが、1人旅だと単品数種を頼むのもコース料理も胃にもサイフにも重い、そんな時はおそば屋さん要チェックです。
メニューに郷土料理があるおそば屋さんに出会うことが結構あります。
うなぎの蒲焼
鰻を開いて骨や内臓をとりのぞき、串にさしたものに、しょうゆ、みりん、砂糖、酒などで作られたタレにつけて焼き上げたもの。
静岡県の浜名湖は明治時代より鰻の養殖地として知られており、「浜名湖のうなぎ」は全国的にも有名。蒲焼きの他にも、タレを付けないで焼く白焼き、うなぎの佃煮、うな丼、うな重など、今では色々な形で日本人に愛されるうなぎ料理。
静岡といえばうなぎパイ、静岡でうなぎといえば浜名湖、浜名湖行ったら絶対食べようと決めていたのが鰻です。
よし松(浜松市)
うなぎパイファクトリーが定休日だったのが、残念でしょうがありません。
MY日本三大土産菓子は、「うなぎパイ」「赤福」「博多通りもん」です。
西日本に偏っているので、「白い恋人」と入れ替えようか悩み中ですが、「うなぎパイ」は不動です。
ちなみに「赤福」は本店、「博多通りもん」は1号店、「白い恋人」はテーマパークに行っています。
でも、うなぎパイファクトリーはまだなんです。
浜名湖
愛知
ひつまぶし
蒸さずにそのまま焼き上げたうなぎの蒲焼を、細かく刻んでご飯にのせる料理です。
その発祥は、うなぎ屋がうなぎの切れ端を活用したまかないとして作ったという説が一般的です。
これはずいぶん前に食べたので写真がないです。
出張で名古屋で乗り換えの時、昼食で食べた記憶があります。
まだ郷土料理に興味を持つ随分前で、愛知と言えばひつまぶし、のイメージがありました。
味噌煮込みうどん
かつおだしと名古屋名産の八丁味噌で作った濃い汁に、かための太いうどんを入れて煮込んだ料理。具材には、鶏肉、油揚げ、卵、ねぎなどが入り、栄養バランスにも優れています。
山本屋本店 大門本店(名古屋市)
八丁味噌、塩分濃度高めですね。
三重
伊勢うどん
長時間やわらかく煮た極太のうどんに、たまり醤油やみりんなどをからませ、刻みねぎや七味唐辛子をのせて、かき混ぜながら食べます。
江戸時代より前から、伊勢(現在の三重県)周辺の農民が食べていたうどんをアレンジしたのが、伊勢うどんのはじまりと言われています。その後、お伊勢参りの参拝客にうどんを振る舞う店が出てきたことで定着しました。
やわらかいです。
甘いです。
大好きです。
宮崎のうどんもやわらかいけど、伊勢うどんはそれ以上。
あののどごしはなんともいえない。
まんぷく食堂(伊勢市)
手こね茶屋(伊勢市)
てこね寿司
カツオやマグロなどの刺身をしょうゆなどで作ったタレに漬け込み、酢飯とあわせたお寿司。薬味として大葉、しょうが、のりなどを散らして食します。
カツオ漁で忙しい漁師が、獲ったカツオをぶつ切りにし、調味料とごはんにまぜあわせて、手でこねて食べたのが発祥といわれています。当地では、女性も海女として働くことが多く、準備に時間のかからないこの料理は定番料理として定着したようです。
手こね茶屋(伊勢市)