農山漁村の郷土料理百選_中国

農林水産省選定の「農山漁村の郷土料理百選」に、中国地方(鳥取・島根・岡山・広島・山口)から選ばれた料理です。

「農山漁村の郷土料理百選」では、食育研究家などをふくむ8名が、約3000品の中から各県2、3品を選んでいます。

 

料理説明の引用:農山漁村の郷土料理百選 選定料理一覧

鳥取

未)かに汁

 冬に旬を迎えるカニを用いたみそ汁です。

鳥取県は日本海でのカニ漁が盛んで、松葉ガニやベニズワイガニなど様々なカニが獲れます。カニ汁にはズワイガニのメスの「親ガニ」をよく使います。漁師料理として作られたのが発祥とされています。

未)あごのやき

 アゴ(トビウオ)で作られるちくわ。別名「あごちくわ」ともいわれ、鳥取県の西部から島根県の一部にかけて作られています。

島根

出雲そば

 そばの実を皮ごとひいて作られるそば粉を用いたそば。皮ごとひいて作られるため、一般的なそばと比べて色や香りが濃く、独特の味わいが特徴です。水で冷やしたそばを3段に重ねた割子(わりご=重箱)と言われる丸い漆器の器に盛り、薬味(ねぎ、刻みのり、かつお節、おろし大根など)をのせ、そばつゆをかけて食します。

出雲地方の松江で、江戸時代から伝わる食べ方です。

荒木屋(出雲市)

未)しじみ汁

 宍道湖で獲れるヤマトシジミを使った椀物。十分に砂抜きをしたシジミを火にかけあくを取り、すまし汁やみそ仕立てで食べます。

宍道湖のヤマトシジミは、「宍道湖七珍(じんじこしっちん)」に数えられます。宍道湖七珍とは、昭和5年に松陽新聞(現・山陰中央新報)の記者が「宍道湖の十景七珍」という記事でシジミを含めた7つの魚介類を紹介したのがはじまりです。

岡山

未)ばらずし

 新鮮な海の幸と彩り豊かな旬の野菜を盛り合わせた郷土寿司です。「岡山ばらずし」や「まつりずし」とも呼ばれます。

江戸時代、備前岡山藩の藩主池田光政が質素倹約を奨励し、「食膳は一汁一菜にせよ」との倹約令を布告しました。やむなく庶民たちは、たくさんの魚や野菜をまぜこんだ寿司飯を「一菜」とし、それに汁物を添えて、体裁を「一汁一菜」としたのが発祥です。

未)ママカリずし

 酢と相性抜群のママカリを使った寿司です。ママカリはニシン科の魚で正式名は「サッパ」といい、背が青い15cm程の小魚。ママカリという名は、隣の家に「ママ(ご飯)」を「カリ(借り)」に行くほど美味しくて食がすすむということに由来します。

広島

未)カキの土手鍋

 みそを鍋の内側に土手のように塗り、その中でカキや豆腐、ハクサイやシュンギクなどの野菜を煮込んで食す郷土鍋です。みその土手を崩しながら、好みの味に調整する調理法は独特です。

あなご飯

 あなごの頭と中骨、昆布でだしを取り、そのだし汁としょうゆで炊いたご飯にあなごの蒲焼をのせた丼です。

瀬戸内海の漁師料理「あなごどんぶり」が発祥とされ、明治時代になって駅弁として売り出されたことで、山陽本線沿いから各地に広まりました。

うえの(廿日市)

山口

ふく料理

 山口県で「2500年以上前から食されてきた」と伝わるふく料理。県内では、幸福の「福」にかけて縁起をかついで、フグのことを「ふく」と呼びます。

戦国時代、多くの武士がフグの毒にあたったことから、豊臣秀吉によってフグ食禁止令が出されました。そして明治時代、長年続く禁止令を解くように働きかけたのは、フグの美味しさに感動した、周防国(現在の山口県)出身の初代総理大臣の伊藤博文でした。

河久(下関市) トラフク刺身御膳

岩国寿司

 大きな木枠に酢飯を詰め、その上に岩国特産のれんこん、錦糸卵、しいたけなどで飾ります。同様に何層も重ね、ふたをして押し固める押し寿司です。一度に5升程の米を用いて作られ、食前にそれを切り分けて食します。