ういろう

小田原、名古屋、山口・・・各地で郷土菓子として親しまれてきたういろう。
米粉などの穀粉に砂糖と湯水を練り合わせ、型に注いで蒸籠で蒸したものです。

起源については他説あるようですが、博多に亡命した中国人の子、宗奇が足利義満に外郎薬を献上した際に、口直しに添えた菓子に由来するという説が主流かな。

発祥の地は、外郎家初代の在住した博多といわれたり、2代目宗奇が在住し、ういろうを初めて世に知らしめた京都といわれたり、その後、引越してお店を開いた小田原と言われたり。

江戸時代にはすでに日本各地に製法が広まり、製造販売が行われるようになっていました。

妙楽寺(博多) 
「ういろう伝来之地」の石碑

 

また、外郎薬(透頂香)に似ていることから「外郎」と呼ばれる菓子になったという説もあります。

これは、宮崎の青島ういろうなんかそうですね。
おサト羊羹と呼ばれていたものを、ういろうに改名。

 

「名古屋ういろう」「山口ういろう」「徳島ういろう」が、日本三大ういろうと言われていまする。

小田原

主原料:米粉

小田原城下町、ういろう創始の店。

店名 株式会社ういろう
住所 神奈川県小田原市本町1-13-17
創業 1504年(永正元年)
歴史 日本に帰化した中国人(陳宗敬)が、博多で陳外郎と名乗る。
息子(宗奇)が京に移り、中国から薬の外郎をもたらす。そして、考案した接待菓子が「ういろう」とよばれる。
1504年、外郎家小田原に移住。
代々、薬と菓子を作り続けている。
明治時代、ういろう販売開始。
外郎博物館併設

薬のういろう「透頂香」は、原料が入手困難になり多く作れないため、症状が合う人にだけに対面販売しています。
その製法は、六百数十年も守られ続けています。

 

名古屋

主原料:うるち米からできる米粉

食感は餅のような弾力があり、庶民的な店では黒砂糖を使ったものも多くみられるそうです。

 

名古屋ういろの元祖

店名 餅文総本店
住所 愛知県名古屋市南区豊2丁目36-24
創業 1659年(万治2年)
歴史 江戸時代、中国人(陳元贇)が博多に薬の外郎を伝える
薬に似ている菓子が、外郎に似ているので「ういろう」と呼ばれるようになる
尾張藩の御用商人が、陳元贇から製法を教わる

小田原外郎家の方が歴史は古いですが、お菓子のういろうを一般に販売し始めたのは明治時代に入ってからなので、ういろうを菓子として販売する業者としては餅文総本店が全国最古の老舗になります。

「献上外良」は、尾張藩主に献上し賞揚された当時の製法をそのまま残しています。

 

 

日本一の販売量を誇る「青柳ういろう」

店名 青柳総本家 大須本店
住所 愛知県名古屋市中区大須2-18-50
創業 1879年(明治12年)
歴史 東海道新幹線開通後、青柳ういろうだけが全列車内での車内販売を許されたことから、名古屋ういろうが全国的に知られるようになった。

 

伊勢

伝統的な黒糖を原料とした「多度ういろ」は、地域の名産として多度大社の参拝客などに親しまれています。

主原料:小麦粉

店名 御菓子の丸繁
住所 三重県桑名市多度町多度1605
創業 150年以上
歴史
特徴 伝統的に黒糖を使用
毎朝手作り

 

 

店名 虎屋ういろ
住所 三重県伊勢市宮後2丁目2-8
創業 1923年(大正12年)
歴史 1938年(昭和13年)ういろう専門店となる
特徴 原材料に小麦粉を使用。
米粉に比べてコシがあり弾力のある食感。

行くには行ったのですが、閉店間際で、お目当ての黒ういろは売り切れてたのか何も買わなかった。
せっかくだから、何か買っておけばよかった。

京都

京都の老舗のういろう屋。
主原料は、小豆、米粉、小麦をブレンド。

店名 五建外良屋
住所 京都市東山区五条橋東2丁目18番
創業 1855年(安政2年)
歴史 京都五条の建仁寺や六波羅蜜寺や清水寺詣のお客のために茶屋を構えたのが創業の始まり。

 

 

京都でいうろうといえば、白いういろうの上に甘く煮た小豆をのせて、三角に切った「水無月」。

無病息災を祈念する「夏越の祓え(なごしのはらえ)」の行事菓子。
1年のちょうど半分にあたる6月30日に、半年間の穢れや邪気を払い、残り半年を健康で過ごせるように祈願します。

平安時代の宮中には、旧暦6月1日の「氷室の節句」の日に、氷室から氷を切り出して食し暑気払いをする風習がありました。
白いういろうは氷のみたて、小豆は厄除けでのせられたのでは、と言われています。

 

 

神戸

「長田のういろ」として、長田神社の参拝者などに親しまれています。

主原料:米粉と葛粉

もっちりとしていて、かなり柔らかい独特の食感。

店名 長田のういろや
住所 兵庫県神戸市長田区長田町1丁目3−1
創業 1877年(明治10年)

 

山口

主原料:ワラビ粉

他の地方のういろうと異なり、わらびもちを彷彿とさせる、くせのないとろりとした食感が特徴。

 

山口ういろうの元祖

店名 福田屋
住所 山口市大内御堀の萩往還沿い
創業 300年前
歴史 太平洋戦争で後継者をなくし、廃業
元職人→御堀堂創業
常連→豆子郎創業

 

元祖山口ういろうを引き継ぐ2店

店名 御堀堂
住所 山口県山口市駅通り1-5-10
創業 1927(昭和2)年
歴史 福田屋の製法を受け継ぐ
特徴 白外郎:福田屋伝統の外郎
特製の餡(シタ)にわらび粉と小麦粉を練りこみ蒸しあげる。

 

店名 豆子郎
住所 山口市大内御堀一丁目1番3号
創業 1948(昭和23)年
歴史 戦後、美味しいものが好きな満州鉄道のエンジニアが山口に帰省。技術を活かす仕事がなく、試行錯誤を重ね山口外郎の店を始める。
素人が作ってるので「とうしろう」と名付けた。
特徴 生絹(すずし)豆子郎:創業時の味を再現

 

県下の多くの地域でういろうが作られている。

岩国名物ふるたのういろう

店名 古田秋栄堂
住所 山口県岩国市岩国1丁目1−39
錦帯橋近く
創業 1806年(文政8年)
歴史

 

 

真空パックされていない、日保ちしないぷるるんぷるるんの生外郎を食べるのが、山口旅行の楽しみの一つ。

徳島

主原料:餅粉・米粉

特徴むっちり弾力のある食感が特徴。
砂糖の代わりに和三盆、地元産の阿波和三盆糖が使われることもある。

寛政年間(1789年 – 1800年)、サトウキビ栽培が阿波国に伝わり、阿波和三盆糖が出来たお祝いとして、徳島藩主や領民一同が旧暦3月3日の節句のときに食したのが始まりと云われています。
旧暦3月3日の節句の際には、阿波ういろを食るのが習慣があるようです。

 

老舗のういろう専門店

店名 ういろのふくや
住所 徳島県徳島市一番町3丁目27
創業 1878(明治11)年
2020年6月29日 後継者不在により廃業

 

宮崎

青島宇いろう

主原料:うるち米

砂糖を使った「白ういろう」と、黒砂糖を使った「黒ういろう」があり、昔ながらの経木に包まれています。

1877年(明治10年)頃、青島で旅館を営んでいた鈴木サトが茶うけに出していた「おサト羊羹」。
地域に伝わる「もち菓子」を改良し生まれたものだったようです。
いつしか「宇いろう(ういろう)」と呼ばれるようになり、観光地・青島で特産品として売られるようになりました。

 

本間商店

「こどものくに」前の県道沿いには、「ういろう」のお店が立ち並んでいます。

 

 

大分

黒田官兵衛の家臣末裔の菓子 ういろう饅頭

主原料:上新粉?上用粉?(どっちせよ、うるち米)

店名 外郎本舗 栗山堂
住所 大分県中津市京町2丁目1521
創業 300年
歴史 黒田二十四騎の一人、栗山利安の子孫が、中津に残り博多の寺院で外郎の製法を教わったのが始まり
特徴 生姜風味で菊型のういろうにこし餡が入っている